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WAFとは?攻撃からWebサイトを守る仕組みと設定方法を徹底解説

郡健人

公開日

Webセキュリティの強化に向けて、WAF(Web Application Firewall)について正しく理解することは重要です。本記事では、WAFがWebサイトを保護する仕組みや防御できる攻撃手法、主な種類と選び方まで徹底解説します。

脆弱性を狙う攻撃や、HTTPレベルの大量アクセスへの最適な対策を理解し、Webサイトの安全性を高めましょう。

目次

WAFとは何か?

WAFとは、Webアプリケーションの保護に特化したセキュリティ対策です。

HTTP/HTTPS通信をリアルタイムまたは準リアルタイムに監視し、アプリケーション層の通信内容を解析して攻撃を検知したり、不正アクセスを遮断して情報漏洩を防いだりする点が特徴です。これにより、脆弱性を狙う標的型攻撃や、大量の不正アクセスを伴う攻撃に対しても有効に機能します。

基本的な仕組みと主要な機能

WAFは、以下のプロセスと機能が連動してWebサイトを保護しています。

  1. Webサーバーへ向かうHTTP/HTTPSリクエストの内容を解析する。
  2. 設定ルールと照合して問題なければ許可し、攻撃を検知した場合は即座にアクセスを遮断する。
  3. 遮断した通信を記録し、攻撃傾向の分析に活用する。
  4. ログを基にルールを微調整し、正常な通信の誤検知を防ぐ。

基本はこの監視・遮断・分析・調整のサイクルを回し続けることで、強固な防御体制を維持します。他には、既知の攻撃パターンを定義したルールであるシグネチャの更新、カスタムルールや除外の設定、ログ・レポートの出力といった機能を備えていることが一般的です。

ファイアウォールやIDS/IPSとの違い

同じくセキュリティ手段であるファイアウォールやIDS/IPSとは、防御するネットワークの階層が異なることが特徴です。ファイアウォールはネットワークの入り口であるIPアドレスやポート番号を監視し、不審なアクセスを遮断します。IDS/IPSは、ネットワークやホストへの不正侵入を検知(IDS)・遮断(IPS)する仕組みです。

どれか一つで万全ということはなく、それぞれの守備範囲を組み合わせる多層防御を行うことで、強固なセキュリティ体制を構築できます。

WAFが必要とされる背景

現代のWebサイト運営において、WAFの必要性が高まっている背景には、自社での脆弱性対応の限界があります。

Webアプリの新たな脆弱性は日々発見されますが、自動化・多様化する攻撃に手動で対策を講じるのは不可能です。また、大規模なシステムほどプログラムの改修には時間やコストがかかり、脆弱性が修正されるまでの期間に攻撃を受けるリスクが高まります。

WAFは、これらシステム改修が間に合わない場合でも、通信を監視・ブロックすることで暫定的にWebサイトを保護できます。これらを実現できる点が導入の大きなメリットです。

WAFの主な種類

WAFには、異なる設置方法と機能を持ついくつかの種類があります。下表に、ソフトウェア型WAF、アプライアンス型WAF、クラウド型WAFの3タイプについて、その特性や違いをまとめました。

WAFタイプ コスト 導入期間 運用負荷 拡張性
ソフトウェア型WAF 初期コストが比較的低く、サブスクリプションモデルで運用することも可能。 ソフトウェアをインストールし、迅速に導入できる。 サーバーリソースを使用するため、一定の負荷がかかる。 必要に応じて拡張が可能だが、物理リソースに依存しやすい。
アプライアンス型WAF 専用ハードウェアを購入するため、初期コストが高くなりやすい。 ハードウェアの設置と設定が必要なため、導入に時間がかかることがある。 専用機器での運用となるため、負荷管理がしやすい一方、管理コストが発生する。 物理的な制約があり、拡張性に物足りなさを感じる場合がある。
クラウド型WAF サービス利用料として支払うため、長期的にはコストが高くなることがある。 短期間での導入が可能で、設定もクラウド上で完結できる。 クラウドプロバイダーが管理するため、負荷は軽減される。 クラウドリソースを活用するため、必要に応じて拡張できる。

企業は自社のセキュリティ要件や予算に基づいて、最適なWAFの種類を選ぶことが重要です。

WAFの検知方式

WAFが不正な通信を正確に見分けるためには、複数の検知方式が用いられます。

以下では、代表的な2つの方式と、AIや行動分析といったその他の方式について解説します。

シグネチャ方式

シグネチャ(シグネチャベース、ブラックリスト)方式は、既知の攻撃パターンをまとめたデータベースと通信を照合し、一致した不正アクセスを遮断する一般的な方式です。

既知の攻撃に対して高い精度で即座に防御できるメリットがある一方、未知の攻撃や新種への対応が遅れるデメリットもあります。最新の脅威を防ぐにはデータベースの定期更新が不可欠であり、正常な通信を誤遮断しないための継続的な調整も重要です。

ホワイトリスト方式

ホワイトリスト方式は、許可した正常な通信のみを通過させ、それ以外をすべて遮断する方式です。

あらかじめ定義した通信ルール以外を排除するため、未知の攻撃に対しても強固な防御力を発揮するメリットがあります。一方で、Webサイトの仕様変更や機能追加のたびにリストを更新する必要があり、設定を誤ると正常なアクセスまで遮断してしまうため、運用負荷が高くなりやすい点に留意が必要です。

その他の方式

近年は、従来の方式に加え、AIや行動分析を用いた高度な検知方式が注目されています。

AIや機械学習を活用した異常検知では、正常な通信パターンを学習させてそこから逸脱する未知の攻撃を特定します。また、ユーザーのアクセス挙動を分析して機械的なボット攻撃を防ぐ行動分析も有効です。これらは誤検知を防ぐための継続的な調整が必要ですが、従来方式と組み合わせることで変化し続ける脅威に柔軟に対応できます。

WAFで防御できる攻撃

WAFは悪意あるリクエストを即座にブロックすることで、Webサイトの改ざんや情報漏洩を防ぎ、サービスの安定稼働を支えています。

以下では、代表的な脅威である脆弱性を突く攻撃と、大量アクセス型の攻撃の2つに焦点を当て、それぞれの特徴とWAFがどう機能するのかを解説します。

脆弱性を突く攻撃

脆弱性を突く攻撃とは、システムやソフトウェアの安全上の欠陥を狙います。代表例を下表にまとめました。

攻撃手法 概要
SQLインジェクション データベースを不正操作する攻撃。
>クロスサイトスクリプティング(XSS) 悪質なスクリプトを実行させる攻撃。
OSコマンドインジェクション サーバーで不正なコマンドを実行させる攻撃。
ディレクトリトラバーサル ファイルシステムの不正な操作を行う攻撃。
Cookie改ざん・パラメータ改ざん ユーザーのセッション情報やリクエストパラメータを不正に操作する攻撃。
バッファオーバーフローのうち、HTTP経由で悪用される攻撃の一部 メモリ領域に過剰なデータを書き込むことでプログラムをクラッシュさせたり、任意のコードを実行させたりする攻撃。

大量アクセス型の攻撃

WAFが有効となるHTTPレベルの大量アクセス型の攻撃は、サーバーに膨大な負荷をかけてサービスを停止させたり、機械的なアプローチで不正ログインを試みたりします。代表的な攻撃手法には以下のものがあります。

攻撃手法 概要
DDoS攻撃 多数のコンピュータを使用して、標的のサーバやネットワークに大量のリクエストを送り込み、サービスを過負荷状態にして正常なアクセスを妨害する攻撃。
ブルートフォースアタック 攻撃者が無数のパスワードを試行することで、不正にアカウントへアクセスしようとする攻撃。
クレデンシャルスタッフィング 攻撃者が過去に流出したユーザー名とパスワードの組み合わせを使って、他のサービスに不正アクセスを試みる攻撃。
悪性Botによる大量アクセス・スクレイピング 不正なBotがウェブサイトにアクセスし、大量のデータを収集したり、リソースを消費したりする攻撃。

WAFでは対処できないこと

WAFは脆弱性そのものを修正する製品ではなく、攻撃を緩和・遮断する製品のため、防御できない領域も存在します。強固なセキュリティを築くには、WAF単体で防げない死角を正しく把握し、多層的な対策を講じることが重要です。

以下では、WAFでは対応が難しい5つの具体的なケースを解説し、総合的なセキュリティ戦略の必要性をお伝えします。

ネットワーク層への攻撃

WAFはアプリケーション層に特化した対策であり、通信の基盤部分を標的とするネットワーク層への攻撃は防御できません。

具体例として、侵入口となるサーバーの空きポートを調査するポートスキャンや、送信元IPアドレスを偽装するIPスプーフィングが挙げられます。これらはインフラを守るネットワーク機器やファイアウォール、IPS/IDSで対処します。特に大規模なDDoS攻撃はWAF単体では防御できないため、専用対策やCDNとの併用が必要です。

アプリケーション自体の脆弱性の修正

WAFは、アプリケーションの設計ミスやソースコードの不備といった脆弱性そのものを根本から修正することはできません。WAFに依存して根本原因を放置すると、別の経路から侵入されたり、設定の隙を突かれたりするリスクが残ります。

脆弱性を根本から解決するには、開発段階から安全な設計・記述ルールを遵守するセキュアコーディングや、利用システムやライブラリを常に最新に保つパッチ適用などが有効です。WAFはあくまでも応急処置であり、脆弱性診断や改修が本筋といえます。

マルウェア感染など端末の問題

WAFはネットワーク上の通信を監視・遮断する仕組みであり、ユーザーが利用するパソコンやスマートフォンなどの端末内部で起きる問題は防げません。

端末側で発生する主なリスクには、ウイルスにより端末内の情報を操作されるマルウェア感染や、フィッシング詐欺などが挙げられます。WAFによる境界防御だけでなく、端末を守るEDRなどの導入や、社員のセキュリティ教育を併用する多層防御が不可欠です。

内部不正

内部不正とは、権限を持つ従業員や関係者が意図的に情報漏洩やデータ改ざんを行う行為です。通常の業務操作を装って行われることが多く、外部からの攻撃通信を検知・遮断するWAFでは防ぐことができません。

内部不正を防ぐには、アクセス権限の最小化、操作ログの厳重な記録と監査、そして組織全体でのセキュリティ教育といった運用面の強化や内部統制が不可欠です。

認証情報の運用不備

WAFは、推測しやすい脆弱なパスワードや、認証情報の使い回しといった管理不備には対応できません。正規のID・パスワードを使った不正ログインは、WAFからは正常なアクセスに見えるため、異常ではないと捉えられるからです。

アカウント乗っ取りなどの被害を防ぐには、WAFに頼るだけでなく、強力なパスワード設定のルール化や二要素認証(MFA)の導入といった認証強化策が不可欠です。

WAF製品の選び方・比較ポイント

市場には多様なWAF製品が存在するため、自社のセキュリティ要件や運用体制に合致した製品を選ぶことが肝要です。

以下では最適なWAF選定のために押さえておきたい、4つの比較ポイントを詳しく解説します。

導入コストと運用負荷のバランス

WAF選定では、初期費用・月額料金といったコスト面と、ルール調整や監視にかかる運用負荷のバランスが重要です。

例えば、自社構築するオンプレミス型は、高度なカスタマイズが可能な一方、初期コストや運用負荷が高くなります。対してクラウド型WAFは、インフラ構築が不要でルール更新も事業者側が自動で行うため、コストと運用負荷の双方を抑えたい企業に適します。自社のリソースに合ったタイプを選びましょう。

パフォーマンスへの影響度合い

WAFは、処理の過程でWebサイトの表示速度(レスポンス)が低下するリスクを伴います。大量のアクセスが一気に集中した際、WAFの処理能力が追いつかないと、サービス全体の遅延につながることもあります。

この影響を抑えるには、不要な検査ルールを削るルールの最適化や、複数のWAFでアクセスを分散させる設計が有効です。特にクラウド型WAFはスケーラビリティに優れており、負荷状況に応じて柔軟にリソースを拡張できます。事前テストで実際の負荷に対する挙動を計測し、サービスの表示速度と安全性を両立できる製品を選びましょう。

対応攻撃範囲と検知精度

WAFの防御性能を左右する重要な要素が、防げる脅威の広さと、正常な通信を誤って遮断しない検知精度の高さです。

WAFはSQLインジェクションやXSSなどの代表的なWeb攻撃を防ぎますが、製品によってはボット対策やAPI保護、DDoS攻撃への備えなど、対応範囲がさらに広いものもあります。また、検知精度はセキュリティの維持とユーザー体験の担保を両立させる鍵です。シグネチャの更新頻度や、機械学習を用いた高度な検知技術の有無によって精度は大きく変動します。

自社に必要な防御範囲を明確にしたうえで、最新の脅威へ迅速に対応でき、かつ誤検知の少ない高精度な製品を選定することが大切です。

サポートと脅威インテリジェンスの充実度

WAFを導入した後の効果的な運用とセキュリティの維持には、サポート体制と最新の脅威インテリジェンスの充実度が大きく影響します。

サポート体制は、トラブル発生時の迅速な復旧だけでなく、日常的なルールの設定やチューニング支援に欠かせません。24時間365日の監視・対応があるか、主要クラウド環境に精通しているかなど、自社の運用体制を補完できる支援レベルを確認することが大切です。

脅威インテリジェンスは世界中の最新攻撃情報を分析し、WAFのルールに即座に反映させる仕組みです。これが優れている製品ほど、日々進化する未知の脅威に対しても迅速な防御が可能になります。

WAF導入における注意点と運用上のポイント

WAFは導入して終わりではなく、その後の適切な運用があって初めて本来の防御性能を発揮します。優れた製品を選んでも、運用の方法次第では正常な通信を止めてしまったり、最新の脅威を防げなかったりするリスクがあるためです。

以下では、WAFの効果を最大限に引き出し、安全かつ安定したWebサイト運営を続けるために欠かせない3つの運用ポイントを詳しく解説します。

誤検知を防ぐ継続的なチューニング

WAF運用で特に注意すべきことは、正常なアクセスを誤ってブロックする誤検知・誤遮断です。特にログインや決済ページで発生すると、ユーザー離脱や売上損失に直結するため、導入初期の入念なログ精査とルールの調整が欠かせません。

日々のログ分析から検知ルールを最適化し、自社サイトの仕様変更や、日々生まれる新たな脅威に合わせて迅速に設定をアップデートしていく必要があります。定期的なチューニングを怠らずに実施することこそが、Webサイトの利便性と安全性を両立させ、WAFを常に最新の盾として機能させる鍵となります。

他のセキュリティ対策と併用する

WAF単体では、すべてのセキュリティリスクをカバーすることは困難です。そこで、多層的な防御戦略が求められます。

まずは脆弱性診断を定期的に実施することで、Webアプリケーションが抱える潜在的な脆弱性を特定し、修正を行いましょう。さらにIPSやCDNなど複数の対策を組み合わせることで、それぞれの弱点を補完し合い、より堅牢なセキュリティ体制を構築することが可能です。

WAF導入事例と活用シーン

WAFは、多様な業種や環境で導入が進んでおり、実際の活用シーンを知ることで、導入効果や運用イメージを掴みやすくなります。

以下では、代表的な業種での導入事例やクラウド環境での利用シーンを具体的に紹介し、それぞれの特徴やメリット、課題について解説します。

ECサイトにおける導入例

ECサイトは個人情報や決済情報を扱うため、SQLインジェクションやブルートフォース攻撃など、顧客情報の奪取を狙うサイバー脅威の標的になりやすい特徴があります。WAFはこれらの攻撃や不正アクセスからWebサイトを保護します。

導入時は、顧客の決済やログインを妨げないよう、誤検知を防ぐ入念なチューニングが不可欠です。専門家の支援も受けながら適切に運用することで、セキュリティと円滑な購入体験を両立できます。

金融システム・クラウド環境における導入例

極めて高いセキュリティ基準が求められる金融システムでは、クラウド移行が進む現代において、WAFによるWebアプリケーション保護が不可欠となっています。

金融システムでのWAF運用は、迅速な攻撃遮断と同時に、サービスの安定稼働を妨げない高度な検知精度が求められます。そのため、リアルタイムのログ分析や自動チューニング機能を活用し、誤検知を極限まで減らす運用が一般的です。また、AIや機械学習を活用した製品も増えています。

最新の脅威インテリジェンスと連携したクラウド型WAFの導入により、複雑化するサイバー攻撃に対応しつつ、運用負荷を抑えた堅牢なセキュリティ基盤を実現できます。

まとめ:WAFの強固なセキュリティで自社の信頼とユーザーを守ろう

WAFは、Webサイトを様々な脅威から守るための重要なセキュリティツールです。特に、脆弱性を狙った攻撃や、HTTPレベルの大量アクセスによる攻撃を効果的に防ぐことができます。

WAFを選ぶ際には、導入コストや運用負荷、対応可能な攻撃範囲などをしっかりと比較検討することが重要です。また、誤検知を防ぐためのチューニングや他のセキュリティ対策との併用も重要です。セキュリティ強化の第一歩として、まずは無料体験版やデモを活用して自社のニーズに合ったWAFを見つけて、安全なWeb環境を実現しましょう。

 

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