Google検索においてAIが生成した回答が表示される場面は、すでに珍しいものではなくなっています。しかし、自社サイトとして何に取り組むべきか、具体的な方針を定められていない企業は少なくないのではないでしょうか。
Googleが公式ガイド「Google 検索セントラル」で示す通り、AI検索における可視性の基盤となるのは、従来のSEOを着実に実践することにあります。本記事では、AI検索に対応するために何か特別な施策を追加するのではなく、従来のSEOで取り組んできたコンテンツ・技術面の基本をどう見直せばよいのかを解説します。
参照
- Google 検索セントラル「Google 検索の生成 AI 機能向けにウェブサイトを最適化する」
AI検索のためのSEOとは
AI検索のためのSEOとは、GoogleのAIによる概要(AI Overviews)やAIモード、AIサービスの検索機能などが回答を生成する際に、自社のページが参照され、リンク付きで紹介されるようにするための取り組みです。
下表では、AI検索・生成AIへの最適化に関連して使われるAIO・LLMO・AEO・GEOの用語について整理します。
| 用語 | 読み方・正式名称 | 主な意味 |
|---|---|---|
| AIO | AI Optimization(AI最適化) | AI検索に向けた最適化の総称。AI Overviewsの略として使われることもある |
| LLMO | Large Language Model Optimization | ChatGPTなどの対話型AIに情報を使ってもらうための最適化 |
| AEO | Answer Engine Optimization(回答エンジン最適化) | 質問に直接答える検索(回答エンジン)への最適化 |
| GEO | Generative Engine Optimization(生成エンジン最適化) | 生成AI検索への最適化。LLMOとほぼ同じ意味で使われることが多い |
これらは業界で使われている呼称であり、定義は必ずしも統一されていません。ただし、呼び方が異なっても、Google検索において特別な最適化手法が必要になるわけではありません。
生成AI時代の検索行動の変化
Googleの検索結果にAIが直接関わるようになった流れは、ここ数年で急速に進んでいます。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2024年5月 | 米国で「AI Overviews」の提供を開始。Search Generative Experience(SGE)からAI Overviewsへ移行。 |
| 2024年8月 | 日本を含む6か国に対象地域が拡大。日本語検索でAI Overviewsの表示を開始。 |
| 2025年9月9日 | 対話型検索「AIモード」の日本語提供が順次開始。 |
参照
- Google Japan Blog「Google 検索における「AI モード」を日本語で提供開始」
このように、企業のWeb担当者が意識すべきAI検索への対応は、すでに検索体験の一部として提供されています。
【Google公式見解】AI検索でもSEOの基本は変わらない
GoogleはAI検索への対策が特別な技術ではなく、基本はこれまでのSEOと変わらないことを明確に示しています。
AIによる概要やAIモードも、従来の検索と同じ仕組みの上に成り立っており、いわゆるAEOやGEOも、Googleから見れば従来のSEOと変わらないという立場です。以下では、その公式見解を具体的に解説します。
生成AI機能はコアランキングシステムに根差す
Google 検索セントラルでは、AIによる概要やAIモードも、通常のGoogle検索を支える検索システムの上に成り立っていると説明されています。これらの機能は、検索拡張生成(RAG)と呼ばれる手法により、Googleのコアランキングシステムを用いて関連性の高いWebページを検索インデックスから取得し、その情報をもとに回答を生成する仕組みになっています。
つまり、AIが回答を作る際の土台そのものが、通常の検索結果を決めているシステムと同じだということです。したがって、これまで通りのSEOの基本は、AI検索でもそのまま役に立つといえます。
AEO・GEOもGoogleにとってはSEO
AEOやGEOという言葉は、AI検索における視認性向上を指す用語として使われることがあります。
この点についてGoogle 検索セントラルでは、検索エンジンから見れば、生成AI検索向けの最適化とは検索エクスペリエンス向けの最適化そのものであり、結局のところSEOと変わらないという考え方が示されています。言葉が新しくても、取り組む中身が別物になるわけではない、というのがGoogleの立場です。
AI検索はどのように情報を選ぶのか
AI検索も、従来のGoogle検索と無関係な仕組みでWebページを選んでいるわけではありません。Google 検索セントラルによれば、AIによる概要やAIモードでは、検索インデックスから関連する情報を取得し、それを回答生成に利用します。
その仕組みを理解するうえで重要なのが、検索拡張生成(RAG)とクエリファンアウトです。この2つについて順に見ていきましょう。
検索拡張生成(RAG)とグラウンディング
検索拡張生成とは、外部の情報源から関連情報を取得し、その情報を参照しながら回答を生成する仕組みです。グラウンディングもほぼ同じ意味で使われる言葉で、AIが自分の記憶だけで答えるのではなく、実際のWebページを根拠にして回答するイメージです。
Googleによると、コアランキングシステムがインデックスから関連性の高い最新ページを取得し、回答の品質・精度・最新性を高めるとともに、回答を裏付けるページへのリンクを表示します。いわば、回答を作成する前に関連資料を検索し、その内容を確認してから回答するような仕組みです。
クエリファンアウト
クエリは検索するときに入力する言葉のことで、ファンアウトは「扇のように広がる」という意味です。クエリファンアウトとは、AIがユーザーの質問をもとに関連する質問を複数作成し、同時に検索する仕組みを指します。
たとえば、「サイトリニューアル 費用」という質問に対して、関連する複数の検索を行い、異なる観点の情報を組み合わせることがあります。そのため、1つのキーワードだけを狙うのではなく、ユーザーが関連して知りたい情報まで網羅するという従来のSEOの考え方が、AI検索においても重要です。
AI検索でも役立つ、これまでのSEOコンテンツの作り方
AI検索でも役立つSEO対策としてGoogle 検索セントラルで示されているのは、人間の読者にとって価値のあるコンテンツを作ることに尽きます。
以下では、独自の視点や一次情報の重視、読者のための構成、画像・動画の活用という3つの観点から、効果の期待できるSEOコンテンツの作り方を見ていきましょう。
一次情報と独自の視点を重視する
一次情報とは、自社で取得・検証したデータや実体験に加え、官公庁・企業など情報の当事者が直接公表している情報を指します。
Google 検索セントラルでは、独自の視点を持つコンテンツの重要性が強調されています。例えば、一般的なノウハウ記事は、誰でも書ける情報の寄せ集めになりがちです。一方で、実体験に基づく記事は、他では得られない独自の知見を提供します。例として、Web担当者向けの記事テーマで両者の違いを整理すると、以下のようになります。
| 一般論にとどまる記事の例 | 独自情報を加えた記事の例 |
|---|---|
| SEOで大事な5つのポイント | 自社で実践して分かったSEO施策の成果と課題 |
| AI検索対策とは?基本を解説 | 自社サイトでAI検索への掲載状況を分析して分かったこと |
なお、Googleは生成AIを使って記事を作成すること自体は禁止していません。重要なのは、品質基準やスパムポリシーを満たしているかどうかです。他サイトの内容を生成AIで言い換えただけの記事は、独自の視点や一次情報を欠くため、評価されにくいコンテンツとなってしまいます。
読者の理解しやすさを考慮して構成する
Google 検索セントラルでは、読者の役に立つようにコンテンツを整理することの重要性も挙げられています。段落やセクションで構成され、コンテンツを移動するための明確な見出しが付いたページは、ユーザーからの評価が高まるとされるものです。
具体的には、次のような工夫が挙げられます。
- 結論を先に書く(冒頭で答えを言ってから理由を説明する、結論ファースト)
- 見出しだけ読んでも内容がわかる設計にする
- 1つの段落に1つの話題にとどめる
こうした構成は人間の読者にとって読みやすいだけでなく、検索エンジンがページの内容を理解しやすくなり、結果としてAI検索で情報が参照される際にも役立つ可能性があります。結局のところ、読者にとってわかりやすい記事を作ることが、AI検索への対策としても有効だということです。
画像・動画を活用する
高品質の画像や動画を活用することも、検索ユーザーにとってわかりやすいコンテンツを作るうえで重要です。AI検索による回答には関連する画像や動画が取り込まれることがあり、ページへのリンク以外の形でも、自社のコンテンツがユーザーの目に触れる機会が増えるとされています。
具体的には、次のような工夫が挙げられます。中でもalt属性は、画像が表示されないときや、読み上げソフトを使用した際に役立つものです。
- フリー素材ではなく、自社で撮影した写真や自社で作成した図を使う
- 画像には内容がわかる説明文(alt属性)をつける
汎用的なフリー素材ではなく、自社ならではの写真や図を使うことは、コンテンツに独自の視点を持たせることにもつながります。ページ上のテキストを、関連性の高い画像や動画で補強することを検討しましょう。
AI検索にもつながる、SEOの技術的な基本要件
どれだけ質の高いコンテンツを用意しても、Googleがそれを正しく認識できなければ、AI検索で参照されるための前提を満たせません。AI検索もあくまで通常の検索の仕組みの上に成り立っているため、従来の技術的な基本要件を満たすことが欠かせないといえます。
以下では、押さえておきたい技術要件の概要をご紹介します。
クロール・インデックス・スニペット表示
AI検索でWebページが参照されるためにも、まずはGoogleがページをクロールし、インデックスやスニペット表示ができる状態にすることが重要です。これらの用語は下表のように整理できます。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| クロール | Googleのロボットがサイトを巡回して、ページを読みにくること |
| インデックス | 読んだページをGoogleのデータベースに登録すること |
| スニペット | 検索結果に表示される、ページの内容を説明するテキストのこと |
ただし、インデックスされている点や、通常の検索結果に表示されている点だけで、AI検索への掲載が保証されるわけではありません。
JavaScript・ページエクスペリエンス・重複削減
上記のほかにも、押さえておきたい技術的なポイントがあります。
| 評価基準 | 説明 |
|---|---|
| JavaScriptの使用 | JavaScriptによって生成されるコンテンツは、Googleが適切にクロール・レンダリング・インデックスできるよう、技術的な実装に配慮する必要がある。参照:Google 検索セントラル「JavaScript SEO の基本を理解する」 |
| ページエクスペリエンス | モバイルからの使いやすさや表示速度など、ユーザーが快適に利用できるページを作る。参照:Google 検索セントラル「ページ エクスペリエンスが Google 検索の検索結果に与える影響について」 |
| 重複コンテンツの削減 | 同じ内容または非常によく似たページが複数存在すると、Googleが代表URLを選択する必要が生じるため、重複を整理することが推奨される。参照:Google 検索セントラル「重複コンテンツを減らす」 |
AI検索のためだけに追加する必要がない施策
AI検索に関する情報が広がるにつれ、「とにかく対策しなければ」と、効果の薄い施策に時間をかけてしまうケースも見られます。Google 検索セントラルでは、こうした施策について見解が示されています。
| よく勧められる施策 | Googleの見解 | 補足 |
|---|---|---|
| llms.txt(※1)を置く | Google検索ではAI検索のための特別な要件として使用されていない | Google以外のAIサービスのために置くのは問題ない |
| 記事を細かく分ける(チャンク化) | AIはページ内の複数の話題を理解できるため不要 | 最適なページの長さというものはない |
| AI向けに文章を書き換える | 言い回しが違っても意味は理解されるので不要 | 主な対象ユーザー向けに表現できていればよい |
| ネット上での言及・紹介を増やそうとする | 不自然に言及・リンクを増やすことは推奨されない | 質の高い内容であることが前提 |
| AI検索専用の構造化データ(※2)を追加する | AI検索のためだけに特別な構造化データを追加する必要はない | 通常の検索結果でリッチリザルトの対象になる構造化データは、引き続き活用できる |
(※1)llms.txtとは、 AIにサイトの概要を伝えるために置くテキストファイルのこと
(※2)構造化データとは、ページの内容をGoogleに正しく伝えるためにHTMLに書き込む、決まった形式の情報のこと
ここで示されているのは、あくまでGoogle検索のAI機能に表示されるために、これらを特別に行う必要はないということです。llms.txtのように他のAIサービス向けに意味を持つものもあれば、構造化データのように通常のSEO施策としては引き続き有効なものもあります。いずれも、何かを新たに積み増す前に、まずは基本に立ち返ることが大切だといえるでしょう。
AI検索におけるSEOの成果をどう見ればよいか
これまでのSEOでは、検索順位やクリック数といった指標で成果を確認するのが一般的でした。一方、AI検索では自社のコンテンツが直接クリックされなくても、AIが生成する回答の中で紹介・引用される場面が増えていく可能性があります。
このような見え方の変化は、ブランドへの認知や信頼感に影響する可能性があるものの、現時点でその影響度を正確に測ることは簡単ではありません。
アクセス数だけでは測れない変化
AIによって検索結果画面上で回答が完結するケースでは、Webサイトへのクリックが発生しない場合があります。クリック数という指標だけを見れば、一見マイナスに映るかもしれません。
ただし、その回答の中で自社のページがリンク付きで紹介されれば、クリックされなかったとしても、社名やサービス名をユーザーに知ってもらう機会にはなります。自社サイトへの流入だけでなく、AI検索における自社コンテンツの露出状況も含めて、検索からの接点を捉えることが重要です。
その手がかりとなるのが、Search Consoleの「生成AIパフォーマンスレポート」です。Googleは公式ガイドの中で、AI検索機能におけるコンテンツの表示状況を確認する方法として、このレポートの活用を案内しています。
参照
- Search Consoleヘルプ「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」
直接流入・指名検索の増加
直接流入とは、検索を経由せずURLを直接入力したり、ブックマークから訪問したりするアクセスのことです。指名検索とは、社名やサービス名そのものを使って検索される行為を指します。
AIの回答を通じて社名やサービス名を知ったユーザーが、その場では流入につながらなくても、後日あらためて社名で検索したり、URLを直接入力して自社サイトを訪れたりする可能性があります。これを確かめる方法として挙げられるのが、主に次の2つです。
- Search Consoleで、社名を含む検索キーワードの推移を確認する
- GA4で、参照元として記録されたChatGPTやPerplexityなどのAIサービスからの流入を確認する
まとめ:AI検索に対するSEO最適化を理解し、次のステップへ
AI検索であっても、Google検索の既存の仕組みと無関係にWebページが選ばれるわけではありません。だからこそ、AI検索専用の裏技を探すのではなく、独自性のあるコンテンツを作り、クロール・インデックスなどの技術的な基本を整えるという、従来のSEOを着実に進めることが重要です。
AI検索への対応で何から着手すべきか迷う場合は、専門家に相談するのも一つの方法です。
EWMグループでは、戦略設計から記事制作、テクニカルSEOまでを一気通貫で支援する「SEO・LLMO運用代行サービス」を提供しています。官公庁や大手企業への支援実績で培った知見をもとに、自社サイトに合った対策を一緒に検討したい方は、ぜひご相談ください。